こんな採用担当はいやだ!エンジニアから見る、採用担当に持っていて欲しいスキルと知識セミナーレポート

エンジニア採用の成功に不可欠な要素の一つとして、採用担当のスキルと知識が挙げられます。どんなに優秀な方でも、エンジニア目線で物事を捉えることができていないと、候補者からの目線が厳しいものになってしまうでしょう。

そこでQiita Jobsでは、2021年7月29日に「エンジニアから見る、採用担当に持っていて欲しいスキルと知識〜こんな採用担当はいやだ〜」というタイトルでセミナーを実施しました。こちらは、株式会社エイチーム引越し侍で技術開発部のマネージャーを務める岡﨑大輝と、Increments株式会社でプロダクト開発グループのマネージャーを務める大東祐太が登壇し、採用担当者に持っていてほしいスキルや知識について現役エンジニアの目線からお話しました。

本記事では、こちらのセミナー内容についてレポートします。これからエンジニア採用をはじめる方や、現場エンジニアとのコミュニケーションを円滑にしたい採用担当者の方、エンジニア目線で魅力的なスカウト内容やアトラクトを知りたい担当者の方は、ぜひご覧ください。

登壇者プロフィール

岡﨑 大輝(おかざき ひろき)
株式会社エイチーム
引越し侍 技術開発部 マネージャー

2014年株式会社エイチームに入社、エンジニアとしてバックエンド、インフラを経験し、2018年に技術開発部マネージャーに就任。エンジニア採用活動においては、インターンシップの運営や面接官、スキル選考官を兼務。現在はマネージャー兼プロジェクトのリーダーとしてエンジニア組織運営や、プロジェクトの成長を担っている。 趣味はワインを飲むことでワインエキスパート有資格者。

大東 祐太(だいとう ゆうた)
Increments株式会社
プロダクト開発グループ マネージャー

2016年株式会社エイチームブライズにに新卒入社、2018年10月からはIncrementsへ異動し Qiita Jobs の開発を経て Qiita Team の開発に携わる。 現在は Qiita Team のプロダクトマネジメントや開発、グループのマネジメントを担う。 エンジニア採用活動は新卒、中途エンジニアの面接官として携わる。

就活時代の良い採用担当・悪い採用担当

--まずはアイスブレイク的に、就活時代に会った良い採用担当・悪い採用担当について、それぞれ教えてください。

岡﨑:僕が就活していたのは8年前でして、エンジニア目線から話をしたときに、社内の技術スタックをしっかり話せる人はいいなと思いました。技術を大切にしている会社だなと。

逆に、エンジニアとなかなか会わせてくれなかったり、技術スタックを語れない人だと、技術をあまり大事にしない会社なんだなと思った記憶があります。
大東:僕の場合は2016年に就活していましたが、人事担当にキャリアビジョンを話すことがありまして、その内容に適したエンジニアを社内でしっかりとアサインしてくれる人がよかったなと思っています。エンジニアのキャリアや技術レイヤーについて把握している方じゃないと、そういうアクションができないと思うので、良い担当者だなと思ったわけです。

逆に悪いと思ったのは、よく分からない技術があったときに「知ってる風」で接せらたときです。これをやられると、エンジニアとしては嫌だなと思った記憶があります。

パートナーとしてあって欲しい採用担当像

--次のテーマは、現場と一緒に採用を進めていくパートナーとなる採用担当はこうあって欲しい、です。これについてはいかがでしょうか?

岡﨑:一番よかったのは、コミュニケーションを取りに来てくれたところですね。エンジニアをしている中で、共に仕事する人を一緒に採用したいなという思いはあったのですが、なかなか踏み込めていませんでした。そこの壁をこえて、エンジニア採用の設計を一緒にやったり現場技術をしっかりヒアリングしてくれたのは、すごくよかったなと思います。チームになってやれる人が良いですね。

また冒頭であった通り、“知ったか”もあったとは思うのですが、それにめげずに自分で知識をつけていってくれたのは会話を通して感じるので、そこも良かったなと思います。

--一括りにはできませんが、エンジニアの方には教えるのが好きな人も多いなと感じました。一方で改善した方が良いケースは何かありますか?

岡﨑:人事の中だけで進めてしまうことですね。採用した後に一緒に働くのは現場エンジニアです。現場を知らないと、長く働く良いエンジニアって採用できないと思うんですよ。人事の中だけで仮説を立てて進めてしまうと、誤解が発生するんじゃないかなと思い、だからこそ現場エンジニアも巻き込んで聞いて欲しいというのはありますね。

--大東さんはいかがでしょう?

大東:例えば求人表を作るのを丸投げではなく、きちんと部署ごとの技術を理解してキャリアとしてある程度描いてくれていると、とても進めやすいなと感じます。

--採用担当に、どこまで技術のことを知っていて欲しいですか?

大東:知識として、似た技術の分類ができていると、すごくコミュニケーションがしやすいなと思います。技術の存在や特徴を知っているだけではなく、分類を知っていることで初めて応用が効くんじゃないかなと思っています。

--なるほど。逆に、気をつけるべきポイントは何かありますか?

大東:社内の技術スタックについて知っていないと、エンジニアに任せっきりになってしまいます。エンジニアは当然ながら事業の開発にも携わらなければいけないので、しんどいんですよね。だからこそ、連携を取りながら一緒に採用していくスタンスでないと厳しいと思います。

--具体的な知識などを学べる方法としては、どんなものが考えられますでしょうか?

岡﨑:一番は書籍を読むとかなのですが、それだと時間がかかりすぎるので、一番簡単なのはエンジニアに聞く事です。だからこそ僕は、近くのエンジニアと仲良くなることが一番の勉強かなと思います。

大東:技術選定の過程の話を聞くと、いろんな知識を包括的に学べるなと思いますね。

岡﨑:あとは、エンジニアのキャリアパスについての理解を深めるのも良いかなと思います。最初にエンジニアの分類を見て、その人が上がった先にどんな道があるのか理解していると、キャリアパスの部分もお話ができるんじゃないかなと思います。

--なるほど。ちなみに技術の話として、よく「レガシーは駄目」みたいな話を聞くのですが、レガシーってなんで駄目なんでしょうか?

岡﨑:レガシーは、既存のシステムを動かしているという観点では素晴らしいと思います。ただ、言語としてはセキュリティがアップデートされていない形なので、その分脆弱性があるのは良くないと思います。また、新しい言語は使いやすくなったり、簡単にコーディングができたりするので、その恩恵も受けれません。

さらに、レガシーを触れる人はどんどんと少なくなっていきますし、そもそもレガシーシステムを触りたくないエンジニアもいるので、採用的には結構厳しくなると思います。

嬉しいスカウト、嬉しくないスカウト

--次のテーマはスカウトです。嬉しいスカウトと嬉しくないスカウト、それぞれいかがでしょうか?

大東:先に嫌なスカウトとして。テンプレートっぽいのはもちろん嫌ですし、単純な経験言語のような、表面的な情報だけ見て連絡してくるのも嫌ですね。

逆に、Qiita記事を読んでくれて踏み込んだ内容で連絡してくれるスカウトは嬉しいです。また、僕の場合は趣味でカレーを作ってTwitterとかに上げているのですが、「あのカレーが美味しそうでした」みたいに、パーソナルな部分に踏み込んで連絡してくれるのは嬉しいですね。岡﨑:人事の方は、媒体でセグメントを区切って検索した上でスカウトを打っていくと思うのですが、エンジニアってちょっと触ったことがある言語であってもし使用言語登録することが良くあります。それに対して詳細を確認せずにその言語でアプローチしてこられると、「僕の得意な技術スタックはそこじゃなくて」ってなります。だからこそ数を打つのではなく、きちんと中身を見てもらって、自社の求める技術スタックと候補者の技術スタックの重なりが大きい人に対してアプローチをして欲しいなと思います。これができていると、必然的に嬉しいスカウトになると、個人的には思います。

ちなみに僕がスカウトをする際は、その人が書いた記事はもちろん、GitHubとかも見るようにしています。自分が得意でない言語の場合は、その言語を知っているエンジニアに聞いて確認するようにしています。

--そこまで確認されているんですね。ここまではスカウトの文面についてでしたが、エンジニア目線として、スカウト承諾するかどうか、条件面もぶっちゃけ大事だったりしますか?

大東:スカウトの段階で条件面まで載っているのはあまり見たことがないですが、僕の場合は文面が全てですね。もちろん、条件面が大事な人もいると思います。

岡﨑:私個人としても「何をやるか」が大前提にあります。その上で、条件面が提示されているのだとしたら、魅力的だなと思ったら良いなと思います。複数のスカウトが来たときに、比較の判断材料として見ることが多いですね。

エンジニアにとって魅力的な会社・魅力的ではない会社

--最後は、エンジニアにとって魅力的に映る会社・魅力的に映らない会社です。こちらはいかがでしょうか?

大東:僕が選考を受けて感じたことですが、採用現場にエンジニアが出てくるのは必須かなと思います。現場を知ろうと思ったらエンジニアの話を聞くしかないので、たくさんコミュニケーションを取らせてくれるのは有り難いですし、採用にしっかりと投資しているなと感じます。

また、エンジニアによる技術的なアウトプットを会社としてできているところも魅力的に感じます。

--エンジニアが自然と前に立っていたり、アウトプットをしっかりと仕組みでできているのが大切ということですね。

岡﨑:僕としては、人事の人がエンジニアのことを語れることですね。人事って会社の顔だと思っていまして、その人が楽しそうに自社技術のことを語っていたり、課題をざっくばらんに教えてくれたり、社内で働くエンジニアの姿を語れたりすると、すごくいいなと思いますね。

それをやるためには、エンジニアと日々コミュニケーションをして自社の技術スタックを理解していると思いますし、エンジニアの現在の現場の状況も理解できていると思います。中でしっかりと動かれているんだなというのが、こういうところから分かりますし、エンジニアはそういうところを見ていると思います。

現場エンジニアとしっかりとコミュニケーションしましょう

今回は「エンジニアから見る、採用担当に持っていて欲しいスキルと知識〜こんな採用担当はいやだ〜」というテーマで、魅力的な採用担当に必要なことをお伝えしました。人事は会社の顔であるからこそ、エンジニアから魅力的に映るためには近道は存在せず、地道に必要な知識をキャッチアップしていき、現場エンジニアとしっかりとコミュニケーションをとっていくことが大切だということが、改めてお分かりいただけたかと思います。

Qiita Jobsでは、今回のような採用担当者に役立つオンラインセミナーを定期開催しております。興味のあるものがあればぜひご参加ください。 https://media.jobs.qiita.com/event

取材/文:長岡 武司

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